少女漫画読書会(もーいっかい!)
少女漫画読書会(その2)をやってきた。
ご参加のみなさま、ありがとうございました。
自分で言うのも何ですが、もはや、面白さのレベルが尋常じゃなくなってきています。カフェにいらした、読書会とはまーったく関係ない一般の方が話を聴いてくすくす笑ってしまうレベルです。僕の自意識過剰とかじゃなく。
ねむようこ『とりあえず地球が滅びる前に』
http:// www.ama zon.co. jp/dp/4 0913411 01
やまもり三香『ひるなかの流星』
http:// www.ama zon.co. jp/dp/4 0884670 86
名香智子『レディ・ギネヴィア』
http:// www.ama zon.co. jp/dp/4 0919130 91
安野モヨコ『シュガシュガルーン』
http:// www.ama zon.co. jp/dp/4 0633485 98
津田雅美『彼氏彼女の事情』
http:// www.ama zon.co. jp/dp/4 5921206 55
中貫えり『エクソシストの花嫁』
http:// www.ama zon.co. jp/dp/4 5967431 26
一条ゆかり『プライド』
http:// www.ama zon.co. jp/dp/4 0886514 21
一条ゆかり『デザイナー』
http:// www.ama zon.co. jp/dp/4 0861725 34
ろびこ『隣の怪物くん』
http:// www.ama zon.co. jp/dp/4 0636554 07
僕は少女漫画の面白さは、「想像力を越えないベタさ」にあると思う。
主人公男子と主人公女子が「運命的に」結ばれている場合、女子力の高いライバルが来ようが、元彼女が来ようが、エリート男子が来ようが、最期には主人公男子と女子がくっつくのである。もしくは、誰ともくっつかずお互いの道を行く(『パラダイス・キス』)のである。
水戸黄門ばりの安心感。ぶれないフォーマット。このベタさを、語り合う面白さ。
また一方で、おそらく女子特有の、陰湿で陰険などろどろ模様も描かれたりする。これはこれで面白い。
■クールピュアなる名言
『ひるなかの流星』をご紹介いただいた際、クールに見えつつ、実は女子が苦手なピュア男子の話があった。これは「クールピュア」と命名された。
なんかこう、お前はもののけ姫かっ!って感じである。
「女は嫌いだが、お前(主人公女子)は好きだ」=「人間は嫌いだ。でもアシタカは好きだ」
なんかこう、お前はもののけ姫かっ!って感じである。
■受け継がれる、「いいヤツは報われない」問題
『レディ・ギネヴィア』に登場。主人公男子はエリート意識ぷんぷんの貴族。彼は結婚している。この妻がね~、いいヤツなんだ。主人公男子は、想いこがれる女子がいるんだけれど、プライドや立場やが邪魔して踏み込めない。そこを、この妻は後押しするわけだ。
もじもじして本命女子にアタック(死語)できない男子に対し、その男子にうすらぼんやり恋心を抱きつつも、その男子の背中を押し、「サンキュ」とか言って男子が本命女子の元に駆けつける背中をみながら「…ばーか」とか言うアレである。
しかし、安心して欲しい。いいヤツ(ライバル女子)にはいいヤツ(好青年)がフォローを入れるものだ。
■女子の喧嘩は終戦ではない。停戦だ。
いわゆる、小学生女子向けの魔法少女モノにおいては、「ホントは友だちになりたいのに、敵同士」的な構図が描かれ、だいたい後の方で「自分自身」との戦いがある。女子の通過儀礼である。
男子の喧嘩は、基本的にガチンコでぶつかるために、短期での終戦になる。
一方、女子はしばしば争いを好まない。できればなかったことにしたい。優しい関係。しかし、自身のなかにある嫉妬心等を抑えきれず、相手に投影してしまいがち。ゆえにもやもやもや~っと「停戦」となる。英国とフランスの100年戦争のごとく、小規模な小競り合いを繰り返す。大変じゃわい。
■ライバル女子巻き髪、からの、髪を切る儀式
主人公男子のことが好きな、ヒロインのライバルの娘は、近年は「巻き髪」である。ゆるふわ系である。すなわち主人公女子は、「女子力」との戦いを余儀なくされる。しかも、巻き髪女子は主人公女子のネガティブ・キャンペーンをはってくる。主人公男子に向けて、巻き髪女子は言う。
「なんか~、○○さん(主人公女子)、さっき○○くん(主人公女子に恋するいいヤツ)と二人であっち行ったよ~。ナニやってんのかな~??」という、アレである。
しかし、巻き髪女子の女子力強化のための努力およびネガティブ・キャンペーンは無駄に終わるので、心機一転、巻き髪を切る例の儀式が執り行われる。だいたい7~8巻くらいである。
■…え?そっから?
『彼氏彼女の事情』や『天使なんかじゃない』においては、初めから仲良しグループができており、その「サロン」内での恋愛模様がメインとなっている。
これが近年、『君に届け』が典型だが、友だちを作るところから始めなくてはならない状況となっている。「ぼっち」問題である。
だいたい、初めに友だちになる娘は、ヤンキー系のはずれた娘、モテすぎて女子グループからディスられた娘、等である。
近年の少女漫画(恋愛系)においては、男子との恋愛の他に、友だち作りをしなければならない。
友だち論に関しては、拙著「足し算の友だち、引き算の友だち」をご参照いただきたく。
余談として、「ジョジョ」に出てくる初期のディオは、非常に陰湿な喧嘩の売り方をしている。ジョジョの悪口を言ったり、ジョジョの彼女に「ズキューン」と1週間にわたってキスをしたりする。外側から攻める、なんかもう女子の戦い方じゃんという話。
そうそう、女子の戦い方のところで、『プライド』なる漫画を紹介された。
これはオペラ・バトルを題材にしているのだが、主人公女子は「プライド」を捨て、なりふり構わずコンクールで勝ちにいく。ライバル女子が動揺しそうなコトを、わざわざコンクールの出番前に告げる、とか。
うーむ。陰湿だ。
という、主観に満ち満ちた読書会概要。
少女漫画は、「語られる」ことによってより面白くなるコンテンツだと思っていて、方々でこの話をするたびに、「参加したいです~」と(たぶん社交辞令だろうけれど)お声をいただく。ありがたい限りだ。
僕の切り口は、時に学術チック、時に中二病チックなので、振り幅がでかいけども、その分、たいがいの参加者さんの話を一度引き受けて、場をまわせると思う。
安心して思ったことを語っていただければ、幸甚。
今回3時間の会だったけども、このネタなら夜通しいけるね。
ご参加のみなさま、ありがとうございました。
自分で言うのも何ですが、もはや、面白さのレベルが尋常じゃなくなってきています。カフェにいらした、読書会とはまーったく関係ない一般の方が話を聴いてくすくす笑ってしまうレベルです。僕の自意識過剰とかじゃなく。
ねむようこ『とりあえず地球が滅びる前に』
http://
やまもり三香『ひるなかの流星』
http://
名香智子『レディ・ギネヴィア』
http://
安野モヨコ『シュガシュガルーン』
http://
津田雅美『彼氏彼女の事情』
http://
中貫えり『エクソシストの花嫁』
http://
一条ゆかり『プライド』
http://
一条ゆかり『デザイナー』
http://
ろびこ『隣の怪物くん』
http://
僕は少女漫画の面白さは、「想像力を越えないベタさ」にあると思う。
主人公男子と主人公女子が「運命的に」結ばれている場合、女子力の高いライバルが来ようが、元彼女が来ようが、エリート男子が来ようが、最期には主人公男子と女子がくっつくのである。もしくは、誰ともくっつかずお互いの道を行く(『パラダイス・キス』)のである。
水戸黄門ばりの安心感。ぶれないフォーマット。このベタさを、語り合う面白さ。
また一方で、おそらく女子特有の、陰湿で陰険などろどろ模様も描かれたりする。これはこれで面白い。
■クールピュアなる名言
『ひるなかの流星』をご紹介いただいた際、クールに見えつつ、実は女子が苦手なピュア男子の話があった。これは「クールピュア」と命名された。
なんかこう、お前はもののけ姫かっ!って感じである。
「女は嫌いだが、お前(主人公女子)は好きだ」=「人間は嫌いだ。でもアシタカは好きだ」
なんかこう、お前はもののけ姫かっ!って感じである。
■受け継がれる、「いいヤツは報われない」問題
『レディ・ギネヴィア』に登場。主人公男子はエリート意識ぷんぷんの貴族。彼は結婚している。この妻がね~、いいヤツなんだ。主人公男子は、想いこがれる女子がいるんだけれど、プライドや立場やが邪魔して踏み込めない。そこを、この妻は後押しするわけだ。
もじもじして本命女子にアタック(死語)できない男子に対し、その男子にうすらぼんやり恋心を抱きつつも、その男子の背中を押し、「サンキュ」とか言って男子が本命女子の元に駆けつける背中をみながら「…ばーか」とか言うアレである。
しかし、安心して欲しい。いいヤツ(ライバル女子)にはいいヤツ(好青年)がフォローを入れるものだ。
■女子の喧嘩は終戦ではない。停戦だ。
いわゆる、小学生女子向けの魔法少女モノにおいては、「ホントは友だちになりたいのに、敵同士」的な構図が描かれ、だいたい後の方で「自分自身」との戦いがある。女子の通過儀礼である。
男子の喧嘩は、基本的にガチンコでぶつかるために、短期での終戦になる。
一方、女子はしばしば争いを好まない。できればなかったことにしたい。優しい関係。しかし、自身のなかにある嫉妬心等を抑えきれず、相手に投影してしまいがち。ゆえにもやもやもや~っと「停戦」となる。英国とフランスの100年戦争のごとく、小規模な小競り合いを繰り返す。大変じゃわい。
■ライバル女子巻き髪、からの、髪を切る儀式
主人公男子のことが好きな、ヒロインのライバルの娘は、近年は「巻き髪」である。ゆるふわ系である。すなわち主人公女子は、「女子力」との戦いを余儀なくされる。しかも、巻き髪女子は主人公女子のネガティブ・キャンペーンをはってくる。主人公男子に向けて、巻き髪女子は言う。
「なんか~、○○さん(主人公女子)、さっき○○くん(主人公女子に恋するいいヤツ)と二人であっち行ったよ~。ナニやってんのかな~??」という、アレである。
しかし、巻き髪女子の女子力強化のための努力およびネガティブ・キャンペーンは無駄に終わるので、心機一転、巻き髪を切る例の儀式が執り行われる。だいたい7~8巻くらいである。
■…え?そっから?
『彼氏彼女の事情』や『天使なんかじゃない』においては、初めから仲良しグループができており、その「サロン」内での恋愛模様がメインとなっている。
これが近年、『君に届け』が典型だが、友だちを作るところから始めなくてはならない状況となっている。「ぼっち」問題である。
だいたい、初めに友だちになる娘は、ヤンキー系のはずれた娘、モテすぎて女子グループからディスられた娘、等である。
近年の少女漫画(恋愛系)においては、男子との恋愛の他に、友だち作りをしなければならない。
友だち論に関しては、拙著「足し算の友だち、引き算の友だち」をご参照いただきたく。
余談として、「ジョジョ」に出てくる初期のディオは、非常に陰湿な喧嘩の売り方をしている。ジョジョの悪口を言ったり、ジョジョの彼女に「ズキューン」と1週間にわたってキスをしたりする。外側から攻める、なんかもう女子の戦い方じゃんという話。
そうそう、女子の戦い方のところで、『プライド』なる漫画を紹介された。
これはオペラ・バトルを題材にしているのだが、主人公女子は「プライド」を捨て、なりふり構わずコンクールで勝ちにいく。ライバル女子が動揺しそうなコトを、わざわざコンクールの出番前に告げる、とか。
うーむ。陰湿だ。
という、主観に満ち満ちた読書会概要。
少女漫画は、「語られる」ことによってより面白くなるコンテンツだと思っていて、方々でこの話をするたびに、「参加したいです~」と(たぶん社交辞令だろうけれど)お声をいただく。ありがたい限りだ。
僕の切り口は、時に学術チック、時に中二病チックなので、振り幅がでかいけども、その分、たいがいの参加者さんの話を一度引き受けて、場をまわせると思う。
安心して思ったことを語っていただければ、幸甚。
今回3時間の会だったけども、このネタなら夜通しいけるね。