shimy-shimizuの日記

読書会を主催しております、シミーです。文化系のモノゴトを中心に、妄想を繰り広げております。

マーニーさん

『思い出のマーニー』観ました。

うん、えー。どうしましょう、この、何とも言えない感。

主人公の一人、杏奈は、
「わたしは…わたしがキライ」
と思っている娘です。

杏奈はぜんそくの療養のため、空気の綺麗な田舎で休みを過ごします。
そこで出会ったのが、不思議な雰囲気のある少女、マーニーです。

物語は、杏奈の抱えるトラウマが解きほぐされていき、
また、マーニーの抱える闇が杏奈によって浄化されていくという、
なんつーんですか。ダブルヒロインが、それぞれの存在にちょっとずつ救われていくという、ハートフルなお話です。

うーむ。困りました。

僕は、「自分大好き人間」なので、
「自分が…キライ…」という人の気持ちが、イマイチ分かりません。

物語の冒頭、杏奈は、スケッチが得意な娘ですが、「人」の絵は描けません。
スケッチにしろ、写真にしろ、「人」を写す行為というのは、「自分は世界をどー見ているか」って現実を突きつけられるコトでもありますから、
自分をある程度、肯定的にとらえていないと、「人」を描いたり写したり、ってのはしんどいコトなんでしょう。

だから、杏奈が変わるコトがあるとすれば、
「人」の絵をスケッチできた時だろーなーというのは、予想していました。
ですが、僕の観る限り、杏奈が描けたのは「マーニー」の絵だけでした。
一応、映画としての結論は出さず、と言ったトコなんでしょう。杏奈はまだ変わる途上にあるだけであると。

うーむ。もやもやです。
うん。僕は、あんまり自分をキライになった経験がないんで何とも言えませんが、
「自分がキライ」からの脱出方法としては

①飯食って風呂入ってクソして寝る
②好きなモノを増やす(好きなモノを思い出す)

①は、作中でも、おばさん達がとっていた方法です。
「あの娘ちょっと変じゃない?」だとか、そんな周囲からの悪評は放っておいて、
とにかく普通の生活をすること。
こう、部屋の隅で体育座りしてぶつぶつ言ってる。「だから」へこむ、ってある気がします。なにせ人間の身体の6~7割は水ですから、水を入れる器が暗いカタチしてたら、そりゃ暗くなりますわ。
明るい器に移しておけば、いずれ良い方向に向くんじゃね?とか。

②は、『アナと雪の女王』でもけっこーポイントだった気がします。
「人を傷つけたくない」がゆえに、独りになろうとしてたエルザの心を引き留めたのは、実はオラフだと僕は思いますね。
つまり、「雪で人を傷つけた」というどよーんとした記憶を上書きし、「雪の能力で生まれた存在(オラフ)と、アナと、遊んだ楽しい記憶」へ書き換える。
好きなモノをたくさん作ること。好きなモノをたくさん思い出すこと。

こと、物語に関していえば、
「自分がキライ」な理由は、「自分にはどーしようもないこと」に拠るのがほとんどです。

家族が「フツー」と違う。
病気で「健康」と違う。
性格が「正常」と違う。

だから、わたしはわたしがキライ。

そこを割り切れないのが、まあ確かに、人間の性です。
しかし、飯食って風呂入ってクソして寝てください。自分の好きなモノを増やしてください。と、映画を観てる間、ずーっと思っていまして、なかなか、「自分大好き人間」にはもやっとさせられるお話でした。

しかし、僕は頑張っている人は応援できても、もじもじしている人にはあんまり力になれなそーだな、というのを感じましたんで、収穫はありました。

あ、ちなみに、収穫とか言って、あらゆるモノを「自己成長」に
つなげよーとしちゃうトコなぞ、「自分大好き人間」の特徴です。
みなさんにはご迷惑をおかけせぬよう、もっと小賢しい生き方を目指します。