shimy-shimizuの日記

読書会を主催しております、シミーです。文化系のモノゴトを中心に、妄想を繰り広げております。

それを人は女装と呼ぶ

和田竜『村上海賊の娘』読み終わりました。
基本的に、戦闘美女と海賊が出てくれば、文句はございません。

主人公は、能島村上水軍首領村上武吉の娘、景姫です。景姫は当時の日本人にしてはバタ臭い目鼻立ちだったせいか、瀬戸内では「醜女」と言われていました。そんな彼女はひょんな出会いから、泉州(現在の大阪あたり)に行くことになり、その泉州では逆に超モテモテです。南蛮人との交流があり、活発であけっぴろげな気風を良しとする泉州侍たちの感性に、景姫はどストライクでありました。

さて、時代は織田信長が武田の騎馬隊を破り、
破竹の勢いで一向宗の本山に攻め入ろうとしている時でした。

景姫は、織田と対立する形になった毛利軍につき、
泉州侍たちは、織田の援軍として「木津川合戦」に参戦します。
下巻はずーっと戦闘シーンが続きます。

そんな中で、僕が注目したのは、景姫の女装シーンであります。

実は一度、景姫は、泉州侍のボスに「姫さんは戦のことなんもわかっとらん、つまらんヤツや」とぼっこぼこに打ちのめされます。打ちのめされた景姫は、瀬戸内に帰り、嫁入りのためファッションにこだわりました。もともとモデル体型であるため、すっげー着こなしちゃったという。

あー。。。姫さんが女装しておる。と思いました。

女装という行為は、生物的なセックス(性別)を問いません。ジェンダー(社会的な性別)の領域です。性別が女性だけども、女装する女性もいますし、女装しない女性もいます。時と場合によって変わったりもします。
景姫に関していえば、あきらかに、女装しないタイプの女性です。ゆえに、景姫はファッションの見た目はすげーよかったのですが、親戚の別の姫から僻みもまじえて「全然似合わない」と評されました。

女装の目的は、二パターンあると思っていまして、

①自分が女の子だと確認する、女子ワールド補完計画
②男ウケ

まあ、細かくみれば、「非日常体験」とかあるんですが、
とりあえずのメインはこの①②ではないでしょうか。
どちらの目的にしろ、景姫の生き方には合わないですよね~。

ちなみに、先に女装は時と場合による、と申しました。
犬山紙子『嫌われ女子50』によりますと、女子会にはパターンがあるそうで

A.上っ面会…お世辞や自慢が飛び交う女子ワンダーランド
B.恋愛会…とにかく恋愛の話をしまくる
C.ブス会…自分のブスな部分を解放する(ヲタ会などもこちらに分類か?)

ABの混合、BCの混合などいろいろあるのですが、とりあえず。
このうち、Aは女装可です。まあ、「○○ちゃんコレかわいい~」とか言い合う会ですもんね。B、Cは、ちょっと女装では微妙かもしれません。というのは、「男子から注目される、素敵なあたし」を自己啓発する場でもないし、Facebook等に「いま女子会やってま~す」と男ウケを狙って広告するものでもないからです。
どちらかと言えば、「男ウケは悪いけど何となく気に入っている服」を着れる場です。こうした場での女装は、野暮かもしれません。

女子会に出場したコトないから実情は知りませんが。

これに対し、男子の女装。①を目的とした女装を、ちょこちょこ見かけるようになってきた気がします。レディースものを着てみたり、女の子らしい行動をとってみたり。なんつっても、男子にとって「女の子」は永遠(とわ)なる宇宙(こすも)ですからね~。

マンガ家の押見修造が、「男が恋愛対象ってわけじゃないが、『女の子』としてちやほやされながら育てられてみたい」的な願望を『ぼくは麻里のなか』のあとがきに書いてましたけれど、うん、なんか気持ち分かる気もしますよ。

「女の子になりたい」という願望から来る装いや行動。
「男ウケしたい」という切望から来るアレコレ。
それを人は女装と呼ぶ。(身体の性別とはず)